「本音」と「建て前」の世界・・日本人独特の対人関係

「日本語を話すひとにとっては嘘を媒介として、ということは、嘘つきであることなしに真実を語ることは日常茶飯事のおこないです。」これはジャック・ラカンという人の「エクリ」という本の中に書かれている文章です。

 

皆さんはこの文章を読んでどう思いますか?わかりにくい文章ではありますが要するに「日本人とは本音とは別に建て前の世界を持っていて、この建て前が日本の対人関係の中で重要な手段となっている」と言う事です。「社交辞令」というのもこの「建て前」の一つです。相手の気分を害することの無いように自分が思っていることは隠し「建て前」という「嘘」を言う事を良しとする国民性だと言う事なのでしょう。

 

では、日本以外ではどうでしょう。おそらく自分の本音を正直に相手に伝えられなければ「自分の意思を持たない人」「大人になりきれていない幼稚な人」というレッテルを貼られてしまうでしょう。しかしここは日本。「建て前」を美徳とし「事なかれ主義」を貫いてきた民族からするとこの「建て前」が自分の心に「うそ」をついているという意識すら薄いのかもしれません。いや、「うそ」をついている自覚はあっても仕方なく言っているのかもしれません。

 

この「建て前」とは日本の社会の中では人間関係を円滑にするために必要なものなのでしょうけれど、これを個人のレベル考えるとどうでしょう。自分に「うそ」をつき、心を偽ると言う事に葛藤を覚え苦しむ人も少なくないと思います。ここに自分が思っていることと言っていることの違いがうまれ、どんどん自分の気持ちを抑えることに耐えられなくなるとストレス等がたまり病気を発症する原因ともなります。

 

この厄介な「本音」と「建て前」の世界の中で生きることの難しさ、それだからこそ日常使う言葉はよく選んで使うべきだと思います。

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